親族が亡くなると、その方の持っていた財産を相続することがあります。基本的には、遺言あるいは遺産分割協議によって財産を取得しますが、その前にしておかないといけない手続がありますし、協議後にするべきこともあります。
当記事では遺産を取得するまでの手続について簡単に整理していきますので、全体の流れをチェックしておきましょう。
Step1:死亡届
親族や同居をしている方が亡くなったときは、死亡したことを知ってから「7日以内」に死亡届を提出しないといけません。
所定の様式を使って届出書を作成し、市区町村に提出します。
法務省のこちらのページからも制度が確認できますが、詳しくはお住いの役所で相談してみましょう。
Step2:遺言書・相続人・遺産の調査
遺産分割協議の下準備として調査すべき大事な事柄が次の3つです。
①遺言の有無
②相続人
③遺産の範囲
「遺言」は遺産の取得方法などを指定するために作成されていることがあります。これが有効に存在していると、これに従った相続をすることになります。そのため、相続人間で分割について協議を始める前に、遺言がないということを確認しておかないといけません。
逆に遺言が存在する場合、家庭裁判所に対し検認という手続をとらなければなりません(但し,公正証書遺言の場合は除きます。)。そして、遺言が有効なのか、当該遺言の内容で遺産を全て明確に分割できるのか、といった点を検討したうえで、当該遺言に従って分割を進めていくことになります。遺言が無効である、あるいは遺言がすべての遺産をカバーしていないような場合には、「相続人」間で遺産分割協議をすることが必要になってきます。
このとおり、2点目の「相続人」は遺産分割協議の当事者です。そこで、戸籍謄本等を取得して相続人を調べることなしに遺産分割協議はできません。また、3点目の「遺産」の内容が遺産分割協議の対象ですから、これについても調べておかないとやはり話し合いを進めることはできません。契約書や通帳、故人宛の郵便物などの資料から遺産を調べることが必要です。
Step3:遺産分割協議で分け方を考える
相続人全員で、遺産の分割方法を協議します。
分割方法の検討で留意しておきたいのが「法定相続分」と「不動産の共有」についてです。法定相続分は一応法定されている取得割合のことであり、迷ったときはこの割合を採用すれば良いでしょう。不動産に関しても自由に分割できますが、共有状態にしていると後々揉めるリスクがあること、そのために単独所有に比べて価値が低いとみなされ満足な処分が困難になることから、誰か1人が取得する方が望ましいと言えます。この不動産の分割方法についても慎重に考えることが大切です。
また、協議結果については「遺産分割協議書」を作成することになります。この遺産分割協議書は、不動産の登記のための書類にもなりますし、金融機関に対し預金の払戻しを求めるための書類にもなります。あいまい不明確な記載では手続が進まない恐れもありますので、専門家の意見を聴いて作成されることをお勧めします。
Step4:名義変更の手続
取得した財産によっては名義変更の手続が必要になるケースもあります。例えば自動車や不動産、株式などです。不動産については、不動産登記法の改正により、令和6年4月より、相続登記が義務化されています。
弁護士は、相続人の調査から遺産分割協議の代理、分割後の諸手続の代理まで担うことができます。もちろん、当事務所においてもこれらの業務を取り扱っていますし、隣接士業である、相続税申告を行う税理士や登記手続を行う司法書士、不動産の評価を行う不動産鑑定士ら各種専門家と共同して業務を行っておりますので、お困りごとが生じましたら、まず当事務所にご相談ください。