相続発生後の問題

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遺産分割

遺産分割について

遺産分割とは、その名の通り“遺産を分割する”ための手続きです。
被相続人(亡くなられた方)の財産は法定相続人(遺産を受け取る権利を持つ人)に分け与えられます。
その割合を決める話し合いのことを“遺産分割協議”と言います。

遺言書がある場合は、基本的にその内容に従って遺産相続が行われます。
ですが、遺言書がない場合や遺言書が無効の場合、遺産分割協議が必要になります。

遺産分割の3つの方法

遺産分割を行う場合、まず法定相続人全員での話し合い(協議)を行います。
そこで話がまとまらない場合は家庭裁判所に移り、調停・審判を行うことになります。
以下で遺産分割の主な3つの方法をご紹介いたします。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、法定相続人全員の話し合い(協議)を介して行う遺産分割の方法です。
全員の参加が必要となりますが、必ずしも対面である必要はなく、メール・電話・手紙でのやりとりでも成立させられます。

遺産分割調停

遺産分割調停は、遺産分割協議で話がまとまらない場合に行われます。
場所を家庭裁判所に移し、調停委員の立ち合いのもと、話し合いで遺産分割を成立させます。
調停委員は裁判所によって選定されます。
調停委員は相続人に対して事情聴取をしたり、必要書類を提出させたりすることで、成立へと導きます。

遺産分割審判

遺産分割調停が成立しなかった場合は、自動的に審判へ移行します。
裁判官が家族の事情などをよく確認したうえで、遺産分割の方法を決めたり、相続割合を決めたりします。

遺産分割協議がまとまらない場合は弁護士へご相談を

「兄弟間で遺産分割について揉めている」「お互いの意見が食い違って、話し合いが進まない」「裁判までは発展させたくない」という遺産分割についてのお悩みがありましたら、南森町・天満の里村総合法律事務所へご相談ください。
遺産分割協議の揉め事は、当事者だけで解決しようとしても深刻化するケースが多く、問題が長期化する恐れがあります。
協議が進まず、調停、さらには審判に移行するしかないという事態を回避するためにも、弁護士へご相談して早期解決をはかるようにしましょう。

遺留分

遺留分について

財産を保有する被相続人は、自身の財産の処分方法を自由に決定できる権利を持ちます。
そしてそれは生前・死後にかかわらず、決定することができます。
そのため、一部の相続人にのみ財産が多大に分け与えられたり、遺言書により法定相続人以外の人物に財産が渡ってしまったりする場合があります。
そうすると、本来遺産を受け取るはずだった法定相続人が不利益を被るケースが出てきます。
そうした不公平を回避するため、一定の法定相続人への一定割合の遺産相続を保証する仕組みがあり、それが“遺留分”という制度です。

遺留分が認められている方

遺留分が認められるのは次に挙げる相続人です。

  • 被相続人の配偶者(夫、妻)
  • 被相続人の直系卑属(子、孫)
  • 被相続人の直系尊属(父母、祖父母)

ただし、相続放棄などにより上記の相続人が相続権を失う場合、代襲相続人に遺留分が保証されます。

遺留分が認められていない方
  • 被相続人の兄弟、姉妹
  • 前述の遺留分が認められている相続人のうち、相続放棄などにより相続権を失った人

遺留分侵害額請求

予定されている相続財産が遺留分よりも少ない場合、遺留分が侵害されているとみなし、不足分を他の相続人に請求することが可能です。
例えば1,000万円が遺留分で認められている場合、400万円しか相続されなかったら、差額の600万円分を請求することが権利として認められています。
こうした権利を“遺留分侵害額請求権”と言います。

遺留分侵害額請求を行う主なケース
  • 遺言書の内容通りに遺産相続を行なうと、相続人間に不公平が生まれる
  • 遺言書により、法定相続人以外の人物に多額の相続財産が授与されている
  • 生前贈与によって、多額の財産を受け取った相続人がいる

これらのケースでは遺留分が侵害されているとみなされ、遺留分侵害額請求が可能となります。

遺留分侵害額請求の方法

一般的に遺留分侵害額請求を行う場合、その他の相続人に宛てて内容証明郵便を介して、遺留分の返還を請求します。
しかしながら、相手が請求に応じないケースもあります。
その場合は家庭裁判所に申し立てて、“遺留分侵害額請求の調停”を行い、それでも応じない場合は地方裁判所に訴状を提出し、“遺留分侵害額請求の訴訟”を起こします。

請求上の注意点は、遺留分侵害額請求には遺留分の侵害が発覚してから1年間、あるいは相続発生後10年間という有効期限が設定されている点です。
ご自身でも遺留分侵害額請求は行うことが可能ですが、期間内に円滑に請求手続きを行う必要があります。
内容に関しても相続財産の範囲・評価といった法律に関する専門知識が必要になるので、弁護士へのご相談がおすすめです。
遺留分侵害額請求をお考えの方は、お気軽に南森町・天満の里村総合法律事務所へご相談ください。

相続放棄

相続放棄について

相続放棄とは、遺産相続に関するすべての権利を放棄することです。
放棄後は“最初から相続人ではなかった”ことになります。
相続放棄に関する手続きは、相続発生後3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立てをしなければいけません。
相続放棄が認められた後は、相続人としての扱いはなくなり、被相続人の遺産を受け継ぐことはできなくなります。
従って、もし被相続人が借金などの負債を抱えていた場合でも、相続放棄により返済責任がなくなります。
また、遺産分割協議への参加も必要なくなります。

相続放棄を検討する主なケース
  • 遺産を調査したら、多額の借金が残っていることが発覚した
  • 遺産相続に関わりたくない
  • 遺産分割協議に参加したくない

など

期限を過ぎると借金を相続しなければいけなくなります

相続放棄でご注意いただきたい点として、手続きの期限が定められていることが挙げられます。
被相続人が亡くなってから、つまり相続が発生してから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申し立てて手続きしないと、“単純承認”したこととなり、現金、預貯金、不動産などのプラス財産だけではなく、借金などのマイナス財産まで相続する責任が生じてしまいます。

相続放棄をご検討中なら、一度ご相談ください

相続放棄を選択すると、相続に関するすべての権利も消失します。
借金などのマイナス財産を返済する必要もなくなりますが、現金や不動産などのプラス財産も受け取ることができなくなります。
万が一、マイナスを上回るプラス財産があった場合は、相続放棄をしない方が得をする可能性もあります。

相続放棄することが本当にメリットとなるのか、ご自身ではなかなか判断つかないこともあるでしょう。
お悩みの場合は当事務所の弁護士が詳しく状況を調査して、アドバイスをいたします。
相続放棄の前に是非、一度当事務所へご相談ください。

寄与分

寄与分について

寄与分とは、被相続人の生前中に行われた、献身的な介護や、無給での事業の手伝いなどの財産の維持・増加への貢献度に応じて、より多くの財産を相続することができるという制度です。
この制度は、「親の介護を献身的に行なった」「会社・家業の発展に貢献した」という相続人と、それ以外の相続人との間の公平を保つために設定されています。
しかし、どのような行為も寄与分として認められるわけではなく、寄与分が認められるためにはいくつかの条件を満たす必要があります。

寄与分が認められる条件
  • 相続人であること
    →友人、他人の貢献は寄与分として認められない
  • 相続人の行為が特別な寄与であること
    →ポイントは「財産の維持・増加に関わる寄与」であるかどうか
  • 寄与行為への対価を受け取っていないこと
    →無償、無償に近い行為であること
  • 期待される以上の特別な寄与であること
    →多少の介護程度では認められないことが多いです。程度に関しては相続人間での話し合いで決定されます
  • 継続的に寄与行為を行なっていたこと
    →数回のみの行為では認められないことが多いです

寄与分請求をされる方は弁護士へ相談を

当事務所では、寄与分請求を検討されている方へサポートを行わせていただきます。
寄与分の請求では様々な点に注意しながら手続きをする必要がありますので、事前に弁護士から専門的なアドバイスを受けるようにしましょう。

“特別な寄与”の証拠を集めましょう

「特別な寄与」を行ったことがわかる証拠があるかどうかは、非常に重要なポイントとなります。
例えば「義父が亡くなる時まで、献身的な介護を行なった」という場合(※)、介護記録、病院へ付き添ったことがわかる資料、介護保険に関わる記録など、献身的な介護を行なったことがわかる証拠は必ず残しておきましょう。

※…2019年7月に民法改正が行われ、相続人以外の親族にも寄与分(特別寄与料)が認められるようになりました

特別受益

特別受益について

特別受益とは、被相続人から受けた特別な利益のことを指します。
生前贈与・遺贈・死因贈与などがこれにあたります。
特別受益がある場合、そのまま遺産分割を行ってしまうと、相続人間で不公平が生じる可能性があります。
そのため、特別受益を受けた相続人の相続分を減らし、その他の相続人の取り分を多くさせる手続きがとられます。
これを“特別受益の持ち戻し”と言います。

何が特別受益にあたるのか?

特別受益には、主に次のようなものが該当します。

生前贈与

被相続人が生前行った贈与のことです。
しかし生前贈与のすべてが特別受益に該当するわけではありません。

  • 婚姻のための贈与
  • 養子縁組のための贈与
  • 生計の資本としての贈与

この3つが特別受益に該当します。

遺贈

遺贈とは、遺言書によって遺産を渡すことを指します。
遺贈の場合はすべて特別受益となります。

死因贈与

死因贈与とは、贈与者(財産を渡す人)と受贈者(財産を受け取る人)が合意したうえで、贈与者が死亡したタイミングで財産を譲り渡すことを指します。
死因贈与はすべての場合で特別受益となります。

不動産問題

遺産に不動産がある場合、注意が必要です

相続する遺産に不動産が含まれる場合、それを巡ってトラブルとなるケースが多々あります。
不動産は現金や預貯金などと違い、明確に分割することが難しく、「その価値はどのくらいなのか?」という評価も難しくなります。
遺産相続における不動産問題は、特に専門的な知識が求められますので、問題が深刻化する前に、お早めに弁護士へご相談ください。

不動産鑑定士と連携しています

不動産の評価額・評価方法を定めることは難しく、“都心部のマンションの一室”というケースなら比較的容易に定められるのですが、“田舎にある一軒家”などになると、どのように評価していいのか専門知識なしには判断できません。

南森町・天満の里村総合法律事務所では、不動産鑑定士と連携して、こうした不動産問題の解決にあたります。
遺産分割の際、遺産の総額を確認しなければならず、それに際して不動産の評価額も決定しなければいけません。
遺産に不動産が含まれる場合、この部分でつまずいてしまい、スムーズに手続きが進められないということがありますので、お早めに当事務所へご相談ください。

相続登記の義務化について

相続登記とは、遺産相続に際して不動産の名義変更を行うことです。
従来、名義変更は任意であり、放置していても問題はありませんでした。
ですが、2024年4月より相続登記が義務化され、相続発生後3年以内に手続きする必要があります。
これを怠ると10万円以下の過料が科される予定となっておりますので、ご注意ください。

長年、登記していない不動産はありませんか?

代々、相続登記がなされていない不動産があると、ネズミ算式に相続人の人数が増え、手続きが非常に複雑になります。
また、何代にも渡って相続登記がなされずにいると、「相続人が全国各地に散らばっている」という事態も起こりえます。
相続人の人数は増えこそすれ、減ることはありませんので、今後、相続登記が義務化されるこのタイミングで、一度専門家へご相談いただくことをおすすめします。

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